記憶するに足る詩
文字数 389文字
短詩形への憧れはある
寸鉄人を刺す研ぎ澄まされた言葉
凧 きのふの空の有りどころ
蕪村のその俳句を読んで
この短い形式が持つ可能性に震駭 した
つづめにつづめた言葉で
鮮やかなイメージを閃かせるその速度
短い詩はいちど暗唱すると
生涯忘れることはない
“いかなる詩も、記憶するに足る文、以上のものではない”
戦後詩人と呼ばれた詩人はそう語っていた
詩や詩人への自嘲も含まれるようなその声音に惹かれる
この評言さえも詩なのだと
その定義に従えば言える
とにかくも記憶に価 するものは貴重だ
言葉だけに限らず
記憶するに足る人や風景や感情はすべて詩なのだと
勝手気ままに定義を延長してしまいたい
記憶を詩で満たしたい
やがて死がその記憶を打ち砕いたときに
いくつかの破片が透きとおった詩であることを願いたい
寸鉄人を刺す研ぎ澄まされた言葉
蕪村のその俳句を読んで
この短い形式が持つ可能性に
つづめにつづめた言葉で
鮮やかなイメージを閃かせるその速度
短い詩はいちど暗唱すると
生涯忘れることはない
“いかなる詩も、記憶するに足る文、以上のものではない”
戦後詩人と呼ばれた詩人はそう語っていた
詩や詩人への自嘲も含まれるようなその声音に惹かれる
この評言さえも詩なのだと
その定義に従えば言える
とにかくも記憶に
言葉だけに限らず
記憶するに足る人や風景や感情はすべて詩なのだと
勝手気ままに定義を延長してしまいたい
記憶を詩で満たしたい
やがて死がその記憶を打ち砕いたときに
いくつかの破片が透きとおった詩であることを願いたい