愁嘆場

文字数 219文字

 この国の映画やドラマには
 たびたび愁嘆場が訪れる
 みんなうつむき深刻で
 涙を浮かべたり嗚咽をもらしたり
 その場の人物全員が一色に染まる

 その空気が
 死ぬほど嫌いなので
 かまわずに遊ぶ子どもや動物を
 愁嘆場に放り込みたくなる
 個人の哀しみには敬意を持つけれど
 同調圧力に満ちた哀しみは
 情緒に対する犯罪だと思う
 無関心をごまかす涙は
 どぶよりも濁って汚くみえる
 自分も流したことがあるだけに
 余計にそう思う
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