死の本
文字数 296文字
もうこれからは
全詩集と聖書しかめくらないでおこう
そう決めたときは清々したな
自分を島流しにするような楽しさ
思えば眠りと読書の時間を除いたら
ぼくの人生は死児のように短い
それは死児たちに失礼か
でもダメだった
結局めくらなくても
こころに刻まれた書物の言葉は
音楽と等しく許可なく思い浮かぶ
物語のせせらぎ
たまゆらの詩情
顔も知らないだれかの記憶
顔も知らないだれかの夢想
幻でしかない人たちの恋
幻でしかない人たちの死
本がなければ死んでいたけど
本があっても死ぬんだろうな
死を忘れない本だけを読みたい
死児たちを忘れない本だけを読みたい
全詩集と聖書しかめくらないでおこう
そう決めたときは清々したな
自分を島流しにするような楽しさ
思えば眠りと読書の時間を除いたら
ぼくの人生は死児のように短い
それは死児たちに失礼か
でもダメだった
結局めくらなくても
こころに刻まれた書物の言葉は
音楽と等しく許可なく思い浮かぶ
物語のせせらぎ
たまゆらの詩情
顔も知らないだれかの記憶
顔も知らないだれかの夢想
幻でしかない人たちの恋
幻でしかない人たちの死
本がなければ死んでいたけど
本があっても死ぬんだろうな
死を忘れない本だけを読みたい
死児たちを忘れない本だけを読みたい