七十七の月

エピソード文字数 328文字

 ぼくの不眠もここまで来たか
 夜をまたぎ
 太陽と顔をまみえ
 夜をまたぎ
 暁に染まる雲を眺め
 夜をまたぎ
 つがいの鳥たちがさえずるころ
 ようやくに
 押っ取り刀でかけつけるはずだった眠りの
 最後に消息を絶った地点が判明する
 そうして眠れないままにまた夜となる

 眠りを隠したのはだれか
 眠りを(かどわ)かしたのはだれか
 ぼくの生きる目的であるはずの
 眠りと名づけられた福音(ふくいん)をさえぎるのはだれか

 不眠はなおもつづくのに
 意識が夢で満ちてゆく
 今夜は月がきれいだが
 不眠に夢遊(むゆう)するぼくの眼には
 夜空に七十七の月
 星影(ほしかげ)をおおいつくすほどの
 人群(じんぐん)のような満天の月空(つきぞら)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み