この世でもっとも優しいこころ
文字数 821文字
この世でもっとも優しいこころとは
どんなものだろう
そんな想定自体に
間違いが含まれているのかもしれない
もっともとはどういう意味か
どうやって比較するのか
そもそもこころというものを
具象物のように扱うのは謬見ではないか
でもいまは
問わない正しさより
誤りによる一歩を
自分は必要としているようだ
この世でもっとも優しいこころ
それは人間に可能な優しさなのか
関係の絶対性は
だれもを攻撃に荷担させる
分け隔てない優しさ
それですら
超越的な立ち位置を仮設しなければ
全うすることはできない
人間の形をとった神の子は
優しさとは裏腹に
烈火のように激烈な罵倒も残している
この世でもっとも優しいこころ
それは生者には無縁のものか
だから神の子は死なねばならなかったのか
生きているかぎり
だれも救済できないのか
だれも救われないのか
母から分娩されたときに
世界はすでにして他者となる
傷つけあいが始まる
凄惨な椅子の取り合いが始まる
群れのなかで生きるかぎり
鎖からは逃れられない
みな死ねばいいと
宗教家がたびたび陥る極論は
それなりの必然性はあるのかもしれない
それでもやはり
正しいとは思えない
生きているのが間違いのように感じられても
死をばらまくことは
なんの救いももたらさない
優しさをはき違えたみじめさが残るだけだ
この世でもっとも優しいこころ
それを体現したように思える人を
自分は何人か知っている
その信じがたいほどの優しさが
限定された局面の
瞬間的なものでしかなかったとしても
こんな人間がいるのかと思うだけで
救われるような心地がするのはたしかだ
その救済が
たとえ仮初めのものであっても
この世でもっとも優しいこころ
そんなものは存在しないが
蜃気楼のように
時たま眼前を横切る
どんなものだろう
そんな想定自体に
間違いが含まれているのかもしれない
もっともとはどういう意味か
どうやって比較するのか
そもそもこころというものを
具象物のように扱うのは謬見ではないか
でもいまは
問わない正しさより
誤りによる一歩を
自分は必要としているようだ
この世でもっとも優しいこころ
それは人間に可能な優しさなのか
関係の絶対性は
だれもを攻撃に荷担させる
分け隔てない優しさ
それですら
超越的な立ち位置を仮設しなければ
全うすることはできない
人間の形をとった神の子は
優しさとは裏腹に
烈火のように激烈な罵倒も残している
この世でもっとも優しいこころ
それは生者には無縁のものか
だから神の子は死なねばならなかったのか
生きているかぎり
だれも救済できないのか
だれも救われないのか
母から分娩されたときに
世界はすでにして他者となる
傷つけあいが始まる
凄惨な椅子の取り合いが始まる
群れのなかで生きるかぎり
鎖からは逃れられない
みな死ねばいいと
宗教家がたびたび陥る極論は
それなりの必然性はあるのかもしれない
それでもやはり
正しいとは思えない
生きているのが間違いのように感じられても
死をばらまくことは
なんの救いももたらさない
優しさをはき違えたみじめさが残るだけだ
この世でもっとも優しいこころ
それを体現したように思える人を
自分は何人か知っている
その信じがたいほどの優しさが
限定された局面の
瞬間的なものでしかなかったとしても
こんな人間がいるのかと思うだけで
救われるような心地がするのはたしかだ
その救済が
たとえ仮初めのものであっても
この世でもっとも優しいこころ
そんなものは存在しないが
蜃気楼のように
時たま眼前を横切る