故人が死について語ったこと

文字数 278文字

 すでに死んだ人の書いた
 死についての言葉を読むと
 不思議な感慨が訪れる
 死についてなにかを想うのも考えるのも
 生きている人間のなすことだ
 死者は想わないし考えない
 死者が想い考えたとしても
 その言葉が伝わることはない
 ただ故人の生前の言葉に死が含まれていると
 すでに訪れた運命が二重写しのように透けて見えて
 あたかも死者が語っているような
 彼岸からの言葉が届いたような
 錯誤の震えに動揺してしまう
 ぼくの書いた死についての詩に
 少しでも価値があるのかはわからないが
 ぼくが死んだ後に読む方が
 おもしろいとだけはいえるだろう
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