二十一世紀の感覚

文字数 301文字

 あくまで個人的な感覚だけど
 二十世紀までのフィクションには
 死がある
 二十一世紀のフィクションには
 死がない
 見失ってしまった
 とらえられなくなってしまった
 ずっとそれを探してもがいている
 ビルに飛行機が突っ込むような
 悪夢じみた烽火で幕を開けたからか?
 凄惨な事件は前世紀にも腐るほどある
 倫理の底が抜けたようなこの感覚は
 一体なにに由来するのだろう
 人が死んでも死にきれていない
 魂のかけらすら鎮められていない
 悼む作法すら忘れてしまった
 亡魂すらも死に気づかない
 そんな痛みのない痛みがずっと感覚を麻痺させている
 この世紀に幽霊の居場所はあるのか?
 生きている人間がみんな死者のように見えるのに
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み