声の影、言葉の影

エピソード文字数 354文字

 ぼくの声は他人に聞こえているのだろうか
 ぼくの言葉は他人に通じているのだろうか
 いくら叫んでみても
 なにかが伝わったという感覚を持てない
 声の影
 言葉の影のようなものでしか
 ぼくの叫びは伝わらないのだろう

 声のようなものが聞こえた気がしたけど
 なんだ 単なる空洞の反響か
 言葉のようなものが語られている気がしたけど
 なんだ 単なる空虚な風音か
 それがぼくの伝えるすべてだ
 ぼくのこころの成れの果てだ

 影の発する不快なノイズを
 だれかの築き上げる夢のどこかに
 目立たぬラップ音として紛れ込ませよう
 それが不可視のぼくのあがきだ
 死霊の最期の断末魔だ
 ぼくの叫びに価値はなくても
 だれかの価値ある夢に混ざりたい

 夢に憧れる幽かなこだま
 それが葬られたぼくの全力だ
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