廻廊を影と

エピソード文字数 318文字

 薄暗い廻廊(かいろう)がもう何年も続いている
 陽のさしこむ大道を
 かつては自分も歩いていたということが
 にわかには信じがたくなっている
 見たまえ
 きみの足元の影が
 取り囲む闇と結託して
 きみが続けてきた唯一の身振りすら剥ぎ取ろうとしている

 影のない孤独
 他人から離れて歩いてきたきみが
 ついにその最後の伴侶(はんりょ)まで失ったとき
 きみの歩行はただひとりのものだ
 影のない歩行はきみ自身のものだ

 宙に浮かんだきみの遊歩(ゆうほ)
 廻廊を経めぐるそぞろ歩き
 たどり着く先がどこかはわからないが
 きみの歩いた軌跡は
 影が後を追うことを()めたいまでも
 (うつ)()な風が刻み込んでいる
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