記憶は答え合わせに向いていない
文字数 330文字
電線に鳥がたむろしていて
家に帰って思い出して
あの鳥たちは何羽いたかと
いまさらに気になっても
記憶だけでは数えられない
記憶は群れを再現できない
群れどころか
毎日みている人の顔ですら
克明に思い出そうとすると
欠落に気づく
記憶は写真ではないから
外部化されていないから
答え合わせには向いていない
けれど死を前にしたとき
自分の人生が
悪いものではなかったと
そう信じたくて
答え合わせをしたいなら
頼りになるのは
記憶だけなのかもしれない
外部化された肖像が
いくら立派に飾られていても
記憶の温もりがなければ
自分の人生はなんだったのかと
深い疑念に囚われたとき
なんの答えも見出だせないだろう
家に帰って思い出して
あの鳥たちは何羽いたかと
いまさらに気になっても
記憶だけでは数えられない
記憶は群れを再現できない
群れどころか
毎日みている人の顔ですら
克明に思い出そうとすると
欠落に気づく
記憶は写真ではないから
外部化されていないから
答え合わせには向いていない
けれど死を前にしたとき
自分の人生が
悪いものではなかったと
そう信じたくて
答え合わせをしたいなら
頼りになるのは
記憶だけなのかもしれない
外部化された肖像が
いくら立派に飾られていても
記憶の温もりがなければ
自分の人生はなんだったのかと
深い疑念に囚われたとき
なんの答えも見出だせないだろう