喪われた泣き声

エピソード文字数 231文字

 枕に詰められた無数の蛇
 頭の下でうごめく注連縄(しめなわ)
 夢は結界を持っていなかった
 蛇の見守る悪夢でぼくは
 泣くことを忘れた現実を(あがな)うように
 あたりかまわず泣きじゃくっていた
 拡声器を泣き顔にあてがって
 哀しみを世界に知らしめようと試みたが
 声が出ない
 涙はとめどなくあふれるのに
 声は
 ぼくの冷感症の声は
 いつのまにかどこかに喪われてしまった
 蛇が笑っている
 悪夢を見守る蛇が
 これみよがしにけたたましく笑っている
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