いない人へ捧げて焼いた

エピソード文字数 279文字

 そこにいないことが
 そこにいることよりも
 存在を主張するときがある
 いないんだ
 あの人はいないんだ
 いつもここで見かけていたあの人は
 もう違うところへ行ってしまったんだ
 あの人はまだこの世にいたとしても
 ぼくの人生からはいなくなったんだ
 そしてぼくの思考の大半は
 いない人のために費やされている
 こころの領地のほとんどを
 あの人に捧げて焼いてしまった
 焼け野原の片隅にほんの少しだけ残った二畳ほどの草原(くさはら)
 いまのぼくの生活圏だ
 命の芽吹く可能性のすべてだ
 この場所もそろそろ
 焼いてしまおうかと最近は考えている
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