糸と待ち人
文字数 326文字
駅で人を待つ手持ちぶさた
ぼんやりとした外界 のひととき
さっきまでの喧噪は消えて
凪いだ海原 のように静か
待っている
来るかどうかもわからない
いまにも断ち切れそうなかぼそい糸しか残されていない
そんな相手を待っている
想いをこめて
糸をたぐる
ちぎれてしまわないように
想いの嵩 を目減りさせて
相手をわずらわせないように
ぶしつけにならないような手つきで
糸をたぐる
待つことは想うこと
その残酷な一致が
いまはこれほどに苦しい
きっと待ち人は来ない
それでも糸をたぐらずにはいられない
切り口を目にするまでは
切り口を目にしたとしても
望みを断ち切る強さを持てない
ぼんやりとした
さっきまでの喧噪は消えて
凪いだ
待っている
来るかどうかもわからない
いまにも断ち切れそうなかぼそい糸しか残されていない
そんな相手を待っている
想いをこめて
糸をたぐる
ちぎれてしまわないように
想いの
相手をわずらわせないように
ぶしつけにならないような手つきで
糸をたぐる
待つことは想うこと
その残酷な一致が
いまはこれほどに苦しい
きっと待ち人は来ない
それでも糸をたぐらずにはいられない
切り口を目にするまでは
切り口を目にしたとしても
望みを断ち切る強さを持てない