縊死者の気遣い
文字数 337文字
首を吊ると
筋肉が弛緩して
糞尿が垂れてしまうから
死ぬ前に
シーツを敷いて
床を汚さないようにしてから首を吊る
そんな自殺者もいると聞いた
その気遣いは
どこかずれていて
ひどく哀しい
宿命的な生きづらさが顕れている
首を吊るときくらい
他人を気にしなければいいのに
そんな感想もきっとずれている
自殺者はみなエゴイストだと
迷惑を蒙った人や
厳しい人は言うだろうし
それは正論なのかもしれないけど
シーツを敷いているときの
その気遣いは
無私に近いような気がする
日数が経過して腐乱してしまえば
汚れどころの騒ぎではないらしいから
シーツなんて
焼け石に水かもしれないけど
その気遣いは
なけなしの遺志という気がする
筋肉が弛緩して
糞尿が垂れてしまうから
死ぬ前に
シーツを敷いて
床を汚さないようにしてから首を吊る
そんな自殺者もいると聞いた
その気遣いは
どこかずれていて
ひどく哀しい
宿命的な生きづらさが顕れている
首を吊るときくらい
他人を気にしなければいいのに
そんな感想もきっとずれている
自殺者はみなエゴイストだと
迷惑を蒙った人や
厳しい人は言うだろうし
それは正論なのかもしれないけど
シーツを敷いているときの
その気遣いは
無私に近いような気がする
日数が経過して腐乱してしまえば
汚れどころの騒ぎではないらしいから
シーツなんて
焼け石に水かもしれないけど
その気遣いは
なけなしの遺志という気がする