美しい詩、醜い詩

文字数 242文字

 自然を詠んだ
 とても美しい詩を書いた詩人が
 戦時中に書いた
 とても醜い詩
 読むと愕然としてしまう
 風雅をよそおった言葉遣いで
 殺せ
 とはっきり告げている
 聖なる国
 と恥知らずに告げている
 戦前、戦後に書かれた詩にさえ
 疑いの眼を向けざるをえない
 虐殺の行われた収容所では
 スピーカーから
 とても美しい音楽が流れていたという
 暴力
 美の皮をかぶった暴力
 殺戮
 詩の皮をかぶった殺戮

 平和な世界にあふれる美しさ
 時が変われば
 また醜くなるのか
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み