小箱
文字数 497文字
無関心だった誰かが
醜聞 を晒したとき
やっぱりな きっとそうだと思ってた おれは前から見抜いてた 見ろよあの顔 いかにもだ 他のやつにはわからない おれはちゃあんと見抜いてた
そんな誇りがしゃべりだす
そのときの自分なら
ためらわずに殺せそうだ
別の道をたどった誰かが
壁に当たって挫折したとき
やっぱりな きっとそうなるに決まってた おれはやめろと言ったんだ 見ろよあの顔 情けない 分ってものをわきまえない おれは忠告したはずだ
そんな叡知 がしゃべりだす
そのときの自分なら
迷わずに殺せそうだ
生来 の無神経で
好きな相手を傷つけたとき
しょうがない おれはなんにも悪くない 勝手に傷つくほうが悪い 見ろよあの顔 泣いている 弱いやつにはお似合いだ おれは毛ほども悪くない
そんな強さがしゃべりだす
そのときの自分なら
惜しまずに殺せそうだ
自分を殺したいと思ったときを
小箱に集めてピンに留めれば
死をおそれずに済むだろうか
げらげら笑いながら寂滅 できるか
となりで猫があくびしてる
やっぱりな きっとそうだと思ってた おれは前から見抜いてた 見ろよあの顔 いかにもだ 他のやつにはわからない おれはちゃあんと見抜いてた
そんな誇りがしゃべりだす
そのときの自分なら
ためらわずに殺せそうだ
別の道をたどった誰かが
壁に当たって挫折したとき
やっぱりな きっとそうなるに決まってた おれはやめろと言ったんだ 見ろよあの顔 情けない 分ってものをわきまえない おれは忠告したはずだ
そんな
そのときの自分なら
迷わずに殺せそうだ
好きな相手を傷つけたとき
しょうがない おれはなんにも悪くない 勝手に傷つくほうが悪い 見ろよあの顔 泣いている 弱いやつにはお似合いだ おれは毛ほども悪くない
そんな強さがしゃべりだす
そのときの自分なら
惜しまずに殺せそうだ
自分を殺したいと思ったときを
小箱に集めてピンに留めれば
死をおそれずに済むだろうか
げらげら笑いながら
となりで猫があくびしてる