夜と朝の死

文字数 309文字

 死んでもいい夜
 死んでもいい朝
 そんな日々がつづく

 死にたくない夜
 死にたくない朝
 そんな日々もあった

 自分に属するなにも
 消えるのが惜しいと思えない
 好ましい人たちと
 その人たちの記憶
 それくらいか
 それも
 いずれは消えるけど
 自分か
 他人か
 記憶か
 どれが先か
 いずれは
 消える
 惜しもうが惜しむまいが

 死んでもいいのに死ねない夜
 死にたくないのに死にそうな朝
 死ぬにはあまりにも月の冴えた夜
 死なないのがもったいない風の澄んだ朝
 死ぬ前に会いたい人を想う夜
 死ぬ前にはもう会えないだろうと悟る朝
 死なない夜
 死なない朝
 いつか死ぬ夜
 いつか死ぬ朝
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