神に洗脳されたぼくは

エピソード文字数 441文字

 神に洗脳されたぼくは
 人間の生涯など塵にも等しいという傲倨(ごうきょ)
 小さな魂すら世界すべてに(あたい)するという熱情が
 脳をごちゃまぜに攪拌(かくはん)している
 神に洗脳されたぼくは
 こころの底ではだれも信じていない
 神すらも信じていない
 優しさを第一義とする戒律だけを信じる
 魂の柔らかな(ひだ)をこそげない慎重な努力を信じる
 神に洗脳されたぼくは
 神を信じなくても神に含まれていることを知っている
 不遜なまでに空気に満たされた聖霊を感じている
 神に洗脳されたぼくは
 宗教じみた物言いの腐臭と狂気をおそれない
 信と不信の境い目を踏み越えることをおそれない
 自らの生と言葉と信仰の無意味さをおそれない
 神に洗脳されたぼくは
 臆面もなく科学的に神を否定する
 死を直視できない哀しい人間精神の生み出した虚妄だと断ずる
 神に洗脳されたぼくは
 どれだけの不信と否定を束にしても
 ぼくからは神を奪えないと
 ぼく自身にすら頑迷な啖呵を切る
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