逸脱の領野

文字数 241文字

 想い出の専横
 記憶の価値
 ふさわしい過去を持ちたい
 人間であるための
 逸脱の領野
 踏み外しの連続
 どこにいるのだろう
 過去が他人の集まりみたいに
 ほつれてバラバラになっていく
 過去を持たない人間は人間ではないという
 記憶偏重主義者の物言い
 わたしは人間か
 肉体的にはそう
 精神における確信について
 その揺らぎについて
 真っ当な反論を知らない
 それは語られない
 記憶は暴力か音楽か
 音楽という暴力なのか
 過去が過去でなくなる前に
 明らかなページを探さなければ
 声なき声に呼ばれる前に
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