ピエロが怖い

エピソード文字数 577文字

 ピエロが怖い
 ピエロの笑顔には殺意しか感じない
 だからといって笑わなくても
 ピエロの真顔はもっと怖い
 コルロフォビア、つまりはピエロ恐怖症
 子どもの頃から恐ろしい
 夜の街をピエロに追いまわされる悪夢を何度も見た
 一度も追いつかれはしなかったので
 起きてから胸を撫で下ろしていたけど
 いまとなっては
 追いつかれたらどうなっていたかに興味がある
 街灯に照らされた夜道を疾走するピエロ
 チェシャ猫のごとく笑いだけが浮かんでいるようなピエロ
 金属バットを持っていたりナイフを持っていたり
 時により手にしている得物(えもの)は違ったけど
 追いつかれていたら
 どう使うつもりだったのだろう
 ああわくわくする
 ピエロが怖い
 ピエロが怖すぎて
 ピエロになりたい
 ピエロに追いつかれたい
 ピエロに(ほふ)られたい
 またあの懐かしい悪夢を見ることはできないだろうか
 いまならばきっと
 嬉々としてピエロにかけよるだろうな
 なぜピエロはあんなに殺気に満ちているのだろう
 個人的には
 それは遊びの狂気じゃないかと思っている
 遊びというのは狂気を(はら)んだものだから
 遊んでいる人間はみな少なからず狂っているものだから
 存在理由に遊びの童心を孕んでいるピエロだからこそ
 息を飲むほどの狂気を獲得できるのだと思う
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック