嘘の紅葉

文字数 239文字

 嘘は流れ
 流れるように流れ
 木の葉みたいに
 虫食いのまま積もって

 嘘をついたことのない人間
 いない
 赤子の頃についた嘘
 おぼえているだろ

 秋の紅葉
 木枯らしの夕べ
 夜は実在しないと
 告白の代わりについた嘘

 流れ流れ
 嘘が流れ
 せせらぎに罪を感じたら
 自然までもがおまえを受け入れないなら

 神のついた嘘
 箇条書きにして
 いまもとってある
 丸文字の斬奸状(ざんかんじょう)

 それでもいまは秋で
 秋の記憶はいつも静かで

 四季を知らない子どもが
 思わず振り返って目を見張るほど
 嘘の大樹(たいじゅ)
 紅く色づいて
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