失敗の記録

文字数 312文字

 昔の自分の詩を見ると気恥ずかしい
 たった一年前のものでも
 詩というのはやはり気恥ずかしい
 恥に踏み込む分野だと思う

 死にたいとばかり語っているのは
 別に恥ずかしいとは思わない
 語り口が恥ずかしい
 詩情を込めたつもりのまさにその部分が失敗している気がする
 無惨な失敗の記録

 でも恥のかきやすさと失敗の容易さが
 詩の軽薄な美点だと思う
 まいにち失敗してみるのも悪くはない
 言葉の上でなら

 舌禍で社会的に失墜することもあるのだから
 言葉の失敗は軽視できない
 でも詩で失敗してみるのは
 それなりに面白い経験になる
 なんの役にも立たなくても
 こころの配置が少しわかる

 この詩も失敗ではあるけれど
 そもそも成功したことがあるのだろうか
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