魔法陣
文字数 503文字
十代も後半にさしかかった頃のぼくの頭は
とめどなく暗い妄想であふれていたが
いまでも思い出すそのうちのひとつは
自分のバラバラ死体を使って
通学路のそばの田畑に
小粋な魔法陣をこしらえるというものだった
頭は目立ちたがり屋だから
周縁部に置くという意外な配置
腕は何等分に分けるか
指は細かくまきちらすか
膝の皿には愛着があるから
中心部に置くという大胆な配置
足は何等分に分けるか
指は細かくまきちらすか
左眼は右眼より視力で劣るから
糸巻きにして置くという不憫な配置
ひと頃はやったミステリーサークルみたいに
誰かを驚かせられるかな
通学路を往き来しながら
計画を立てるのは楽しかった
でもまあしかし
魔法陣というのは次善の策で
本当はチェス盤を作りたかった
自分のバラバラ死体だけだと
駒の数には届かない
他人のバラバラ死体を混ぜると
純度も下がるし楽しめない
十代も後半にさしかかった頃の
計画によれば周縁部に配置されるはずの
ぼくの頭の中の
あふれるような暗い妄想のテーマは
いかに自分を遊ばせて殺すか
その一点につきるのだった
とめどなく暗い妄想であふれていたが
いまでも思い出すそのうちのひとつは
自分のバラバラ死体を使って
通学路のそばの田畑に
小粋な魔法陣をこしらえるというものだった
頭は目立ちたがり屋だから
周縁部に置くという意外な配置
腕は何等分に分けるか
指は細かくまきちらすか
膝の皿には愛着があるから
中心部に置くという大胆な配置
足は何等分に分けるか
指は細かくまきちらすか
左眼は右眼より視力で劣るから
糸巻きにして置くという不憫な配置
ひと頃はやったミステリーサークルみたいに
誰かを驚かせられるかな
通学路を往き来しながら
計画を立てるのは楽しかった
でもまあしかし
魔法陣というのは次善の策で
本当はチェス盤を作りたかった
自分のバラバラ死体だけだと
駒の数には届かない
他人のバラバラ死体を混ぜると
純度も下がるし楽しめない
十代も後半にさしかかった頃の
計画によれば周縁部に配置されるはずの
ぼくの頭の中の
あふれるような暗い妄想のテーマは
いかに自分を遊ばせて殺すか
その一点につきるのだった