模型の景色

エピソード文字数 285文字

 しゃがんで景色を眺めると
 子どものころの視界を思い出す
 そうだそうだ
 階段はこんなにも威圧的だった
 地面はこんなにも身近だった
 空に浮かぶ雲はこんなにも遠くて親しげだった
 木偶(でく)(ぼう)になったいまのぼくの眼に映るものは
 幼いころ
 門柱の上に仁王立ちして
 王様のような気分を味わっていたぼくが見たものよりも
 豊かだとはとても言えない
 いまも記憶に残る
 門柱の上から眺めたあの景色
 (てのひら)ですべてに(さわ)れるような
 輪郭のくっきりした模型のような景色
 ぼくのこころの見捨てられた部分は
 いまもまだあの玉座に立っている
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