冬の残像
文字数 245文字
走る自転車のライトに
軌跡を残しながら雪が降る
夜闇を照らした一角に
銀の光跡が降りしきる
坂道を下りながら見れば
等間隔に立ちつくす街灯のすれすれを
滝のように光跡が降り落ちる
流星のように白雪が降りしきる
寒そうに身を縮こませた歩行者が
きっとなんらかの想いが去来したのだろう
ポケットから片手を引き抜いて
鮮やかに十字を切ってすれ違った
自転車で走るぼくの眼に
光に照らされた雪の軌跡と
通りすがった誰かの祈りが
忘れがたい冬の残像として残される
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