おめでたい錯覚

文字数 227文字

 自分はこの世でもっとも幸福な人間ではないかと
 幼いときは思っていた
 いかなる場所
 いかなる時間にも
 自分ほど幸福な人間はいないだろうと
 なんて思い上がった考えだろう
 でも時おりいまでもふと
 そんな想いがわき上がる
 笑ってしまう
 なにものもつかみえず
 影と成り果てて
 たびたび死にたいと思い
 たびたび消えたいとさえ願っているのに
 それでもまだ
 自分が祝福されているような錯覚に陥るなんて
 笑ってしまうよな
 笑うしかないよな
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