バガテル

文字数 240文字

 ずっと苦手だったベートーヴェン
 でも好きなピアニストの弾くバガテルは
 とても素晴らしかった
 バガテルとは
 ささやかなもの
 くだらないもの
 という意味らしい
 大作よりもよほど好きだ
 あの深刻そうなイメージのベートーヴェンに
 こんなに優しい曲があったなんて
 そういえばシェイクスピアを好きになったのも
 戯曲ではなく
 恋人への想いをつづった
 ソネットがきっかけだった
 個の手触りを感じさせる小品に
 どうも自分は惹かれるらしい
 すぐにも消えてしまいそうな
 ささやかな詩がそこにはあるから
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