剥がれ落ちる感覚

文字数 242文字

 だんだん頭がぼけてきて
 近親者の名前すら思い出せなくなる
 どんな気がするものだろうと
 その内面に興味があった

 子どものころからたびたび
 自分が自分であることが不思議に思えて
 名前や人格や過去の記憶が
 剥がれ落ちていくような感覚に襲われて
 自分が自分から離れていく
 自分である意味がわからなくなる
 きょうもまた
 そんな空白が訪れた

 老人の抱える空白と
 共通するところはあるのだろうか
 剥がれ落ちていくあの感覚に
 抗わず身を任せたら
 どうなるのだろう
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