迷走

文字数 275文字

 迷走
 という状態に興味がある
 かつてあれほど明晰だった作家が
 なぜこうなったのだろう
 そんなやるせなさをたびたび感じる
 作家だけではない
 作品なんて残していなくても
 人は必ず迷走する
 その迷走は必然なのか
 避け得ないものなのか
 彼や彼女の失敗なのか
 時代が負わせた刑罰なのか
 本人は迷走をどれだけ自覚しているのか
 出口への希望はあるのだろうか
 霧が晴れたところで
 新たな迷いの始まりではないか
 他人の迷いを解いたところで
 自分の迷いに終わりはないが
 迷走
 という
 だれもに訪れるトンネルに
 深甚な興味がある
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