苦手なゴキブリ

エピソード文字数 429文字

 ゴキブリが本当に苦手で
 見るだけで胸の底がぞわぞわする
 ただなんだか
 この条件反射的嫌悪感は
 不当な気もして
 嫌悪感に対する嫌悪感がある

 人間になったゴキブリと友達になる
 そんなあらすじの
 とても好きな短篇マンガ
 ぼくは自分をとても醜い生き物だと思ってきました
 そう語っていた元ゴキブリの彼
 ゴキブリに怖じ気づくたびに
 あのマンガを思い出す

 死にかけたゴキブリが
 シンクでふらふらとうろついているのを
 しばらく観察していたことがある
 なぜそんなことができたかわからないけれど
 円を描くように同じ軌道をたどる昆虫が
 グロッキー状態のボクサーや
 痛めつけられた徘徊老人のように見えて
 哀れな気もした
 不当な嫌悪感と同じくらいに
 不当な憐れみではあるけれど

 嫌悪感は
 危険な感情だから
 省察され
 解体されるべきだと思う
 ゴキブリを見たときの総毛立つようなこの嫌悪感を
 どうにか克服できないものだろうか
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