凡庸な詩人のさえずり
文字数 267文字
眠りの前に詩を書いて
目覚めた後にも詩を書こう
ぼくには知識も才能もないし
卓抜な比喩なんて思いつかない
語彙にいたっては素寒貧だ
とうに泉は涸れてしまって
有り合わせの生き血だけで
終わらない賭けに参加している
息をするように詩を書くことで
なにかが生まれるのを待つだけだ
つまりはへぼ楽師の即興演奏
凡手の即興ほど退屈なものはない
それでもぼくは詩人なのだ
だれにも聞かれず読まれなくとも
言葉に広がる空を見たときから
詩で鳴く唄い鳥の末裔なのだ
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