枕頭の音楽

文字数 334文字

 枕頭の書とは
 枕元の本
 いつも身近に置いている本

 自分の枕頭の書は
 だいたい定まっている
 揺らぐこともなさそうだ

 最近は
 枕頭の音楽とでもいうべきか
 ゴルトベルク変奏曲を聴きながら眼を閉じると
 よく眠れる

 バッハはこの曲を
 不眠症の伯爵のために作った
 というのは有名なエピソード
 信憑性は
 あまりないそうだが
 作り話にしても
 こころ惹かれる逸話だ

 よく眠れるように
 ではなく
 眠れないならせめて
 気が晴れるような音楽を
 という話だったと思うが
 自分は聴きながら
 よく眠れる

 始まりのアリアを聴いていて
 もううつらうつら
 ふと目覚めると
 終わりのアリア
 三十の変奏が夢に溶けて
 時間の結び目が淡くなる
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