死にたがり暦歌
エピソード文字数 468文字
一月は凍死
吹きすさぶ寒風が年明けのめでたさに人を殺す
二月は殉死
場違いな忠義がおのずから燃えあがって人を殺す
三月は餓死
見捨てられた空白が春風を伴って人を殺す
四月は狂死
暖かな気候がこころくるめかせて人を殺す
五月は頓死 ()
去年からの憂鬱が満開に花ひらいて人を殺す
六月は慘死 ()
梅雨時 () の殺意が湿り気を帯びて人を殺す
七月は熱死
失われた慈雨 () が五体を渇 () えさせて人を殺す
八月は溺死
反魂 () の水気 () が衆生 () を呑み込んで人を殺す
九月は圧死
立ち遅れた残暑が群衆を煽らせて人を殺す
十月は枯死 ()
秋めいた流行 () り病 () が黄昏を患わせて人を殺す
十一月は刑死
消えることのない過去が罪の威を借りて人を殺す
十二月は自死
歳月の重みが生きることを厭 () わせて人を殺す
もちろんのことですが
年間に起きる人死 () には
いちダース程度では済みません
吹きすさぶ寒風が年明けのめでたさに人を殺す
二月は
場違いな忠義がおのずから燃えあがって人を殺す
三月は餓死
見捨てられた空白が春風を伴って人を殺す
四月は狂死
暖かな気候がこころくるめかせて人を殺す
五月は
去年からの憂鬱が満開に花ひらいて人を殺す
六月は
七月は熱死
失われた
八月は溺死
九月は圧死
立ち遅れた残暑が群衆を煽らせて人を殺す
十月は
秋めいた
十一月は刑死
消えることのない過去が罪の威を借りて人を殺す
十二月は自死
歳月の重みが生きることを
もちろんのことですが
年間に起きる
いちダース程度では済みません