縁日

エピソード文字数 305文字

 ぼくの虚無にはテンポがある
 哀しいことではあるけれど
 夜店を開く廃兵のような
 時代遅れのテンポがある
 縁日に溶け合う孤独のような
 むかし懐かしいテンポがある

 さあお団子を食べて
 殺伐とした罵り合い
 くわえ煙草のそぞろ歩き
 欄干(らんかん)を歩く猫を羨んだら
 みんなで一斉に飛び込もう

 ポケットは半開き
 ちりばめた星を集めるために
 カフスボタンは食べ頃サイズ
 抜きがたい食欲をじらせるために

 魚っていいな
 金魚鉢で眠れるから
 魚っていいな
 横顔こそ本然(ほんねん)だから

 下から見上げた橋梁は
 水面(みなも)のきらめきを反射して
 (あし)の影絵を主催していた
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック