暗さが存在するかぎり

文字数 270文字

 明るさを信用できない
 という性根は
 きっと死ぬまで治らないだろう
 笑顔の足下には死体がある
 その疑念は絶対に拭えない

「下層階級が存在するかぎり、わたしはそれに属する。犯罪分子が存在するかぎり、わたしはそれに属する。刑務所に囚人が存在するかぎり、わたしは自由ではない」

 ユージン・ヴィクター・デブスという人は
 そんな言葉を残したらしい
 徹底している
 それほど立派な信念は
 自分にはかけらもないけれど
 あらゆる人間が明るいときも
 自分はきっと暗いだろう
 そんな諦めのような執念が
 性根の奥深くにこびりついている
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