時計の針の影

文字数 204文字

 時計の針を
 見ていた
 針が盤面に投げかける
 細い影を

 斜めから時計を眺めると
 針の影は
 少し遅れていた
 影は
 過去に属しているのだ
 振り返ると
 一歩遅れて

 影は現在にいつも間に合わない

 針がまわって
 角度がかわり
 今度は影が
 先んじているように見えた
 予知のような
 暗い影

 影は現在よりも先に死ぬ

 ぼくは
 自分が影のようにしか
 感じられない時がある

 時計の針を
 見ていた
 長くも短くもない寿命を
 削りながら
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