詩の数だけは多い

文字数 270文字

 気がつけば
 自分の書いた詩が
 千五百を越えていた
 自分で勝手に詩と呼んでいるだけの
 拙い代物だけど
 数だけは多い
 最愛の詩人の全詩集を開いて
 詩の数を数えてみた
 おおよそ九百五十
 数だけは
 この人が生涯に残した詩の数を
 追い抜いたのか
 数だけは

 量に依存する価値観を信ずることは出来ないと
 この人は書いていた
 自分が何千何万の詩を書いたところで
 そのすべてを合わせても
 この人の一篇にすら及ばないけれど
 無気力・怠惰・飽き性の三拍子が揃った自分に
 続けられる表現があったとは
 そのことに驚いている
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