雪の記憶
文字数 420文字
いままででもっとも幸福な思い出はなにかと問われれば
真っ先に浮かぶ光景がひとつある
子どものころ
冬の学校に雪が降りつもり
授業はやめて遊んでいいこととなった
しんしんと雪の降る校庭に
恩赦を賜った囚人のように躍り出る生徒たち
ぼくもクラスメイトと一緒に外に出たはずだったが
いつのまにか一人で遊んでいた
マイペースにころころと雪玉を転がしていると
いまでは隣のクラスになってしまった友達と鉢合わせて
一緒に雪だるまを作ることとなった
そうしてまたひとり友達が合流し
雪だるまを作り終えた後は
お定まりの雪合戦
なにもかも白い景色のなかで
周りはだれもが遊びに夢中
ふしぎなほど静かなこの遊び場なら
どこにでも友達がいるような気がして
だれとでも仲良くなれるような気がして
この世界はなんて優しいのだろうと思った
世界の残酷な相貌があらわになっても
いまだにぼくは
あの日の雪が忘れられない
真っ先に浮かぶ光景がひとつある
子どものころ
冬の学校に雪が降りつもり
授業はやめて遊んでいいこととなった
しんしんと雪の降る校庭に
恩赦を賜った囚人のように躍り出る生徒たち
ぼくもクラスメイトと一緒に外に出たはずだったが
いつのまにか一人で遊んでいた
マイペースにころころと雪玉を転がしていると
いまでは隣のクラスになってしまった友達と鉢合わせて
一緒に雪だるまを作ることとなった
そうしてまたひとり友達が合流し
雪だるまを作り終えた後は
お定まりの雪合戦
なにもかも白い景色のなかで
周りはだれもが遊びに夢中
ふしぎなほど静かなこの遊び場なら
どこにでも友達がいるような気がして
だれとでも仲良くなれるような気がして
この世界はなんて優しいのだろうと思った
世界の残酷な相貌があらわになっても
いまだにぼくは
あの日の雪が忘れられない