浮浪者
文字数 297文字
たまに足をのばしていた古本屋
その通り道に
いつも浮浪者が寝転がっていた
見るたびに
なにか話しかけたいような気がした
でもなにを話せばいいのかわからないし
声をかけられたいのかどうかもわからないし
自分がなにを求めているのかもわからないし
けっきょく話しかけられないまま
いつのまにかいなくなった
自分もいつか
ひとりの浮浪者になるのではないか
十代半ば頃から
ずっとそう思っているけれど
そのわりには
未だに浮浪者にもなれず
未だに浮浪者を見ても無視して
未だに浮浪者への予感だけを育てて
未だに浮浪者と関わりもせず
未だに浮浪者と友達になれない
その通り道に
いつも浮浪者が寝転がっていた
見るたびに
なにか話しかけたいような気がした
でもなにを話せばいいのかわからないし
声をかけられたいのかどうかもわからないし
自分がなにを求めているのかもわからないし
けっきょく話しかけられないまま
いつのまにかいなくなった
自分もいつか
ひとりの浮浪者になるのではないか
十代半ば頃から
ずっとそう思っているけれど
そのわりには
未だに浮浪者にもなれず
未だに浮浪者を見ても無視して
未だに浮浪者への予感だけを育てて
未だに浮浪者と関わりもせず
未だに浮浪者と友達になれない