鳩時計の鳩
文字数 338文字
鳩時計の鳩が
時を告げるために飛び出すと
ちょうどご臨終と重なった
鳩は気を使って鳴かなかった
遺族たちは時計が故障したと思い
老人の死に合わせて
古ぼけた鳩時計も処分することにした
廃棄された時計から
鳩は自由へ解き放たれた
翔る
羽ばたく
空を泳ぐ
想像もしていなかった余生
信じられないほどの世界の広さ
ああそれでも
自らの使命は忘れがたい
時を告げなければ生きた心地がしない
人家に忍び込み
満を持して鳴くと
不思議と必ずご臨終に重なった
鳴こうとするたびに人が死んだ
自分はいつのまにか
死を告げる鳥になっていた
羽根の色も汚れていた
変わり果てた使命に戸惑ったが
いまでは立派に死神の使い
最期の時を告げている
時を告げるために飛び出すと
ちょうどご臨終と重なった
鳩は気を使って鳴かなかった
遺族たちは時計が故障したと思い
老人の死に合わせて
古ぼけた鳩時計も処分することにした
廃棄された時計から
鳩は自由へ解き放たれた
翔る
羽ばたく
空を泳ぐ
想像もしていなかった余生
信じられないほどの世界の広さ
ああそれでも
自らの使命は忘れがたい
時を告げなければ生きた心地がしない
人家に忍び込み
満を持して鳴くと
不思議と必ずご臨終に重なった
鳴こうとするたびに人が死んだ
自分はいつのまにか
死を告げる鳥になっていた
羽根の色も汚れていた
変わり果てた使命に戸惑ったが
いまでは立派に死神の使い
最期の時を告げている