「固有時との対話」を何度も

文字数 232文字

 「固有時との対話」を
 何度も何度も
 一日中
 繰り返し読む
 この長く索漠とした
 暗唱の困難な乾いた詩
 凍りついたこころで
 凍りついた街路を歩いているような
 奇妙な浮遊感のある詩
 色彩が消えたような詩
 神を求めているような詩
 死んでいないことを不思議がるような詩
 「固有時との対話」
 読んでいると
 冬の胞衣(えな)に包まれているような
 寂しい安心がある
 記憶が詩になるのなら
 言葉が記憶に(あたい)するなら
 この心象は忘れがたい
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