物語と詩

文字数 318文字

 休憩するために詩を書こう
 物語を紡ぐと肩が凝る
 疲れが(おり)のように溜まる
 詩は疲れない
 物語を語るための言葉には
 大量の小石が紛れ込む
 詩は不純物を容れさせない
 小石を取り除いた言葉をもって詩と呼ぶ
 出来の良し悪しはともかくとしてだ
 物語には登場人物がいる
 身近でありながら他人のように未知な人物
 たとえ愛する人物であっても
 人付き合いには息のつまるときがある
 詩は登場人物を必要としない
 必要なのは言葉だけだ
 物語は完全な孤独にはたどり着けない
 詩は閉じることができる
 水底(みなそこ)のような孤独に浸りきることができる
 筋書きも人物も整合性もいらない
 言葉、言葉、言葉
 言葉だけが詩だ
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