正義について私が知っている二、三の言葉

エピソード文字数 363文字

 “天が落ちてくるとも正義を行え”

 どこで読んだのか忘れてしまったが
 もとはラテン語であるらしいその格言は
 峻烈な声音で胸に響いた
 時おりその残響がこだまする

 “ほとんどあらゆる正義のうつくしさが
 公準から見はなされてひさしいといふこと”

 ()の詩人はそんな言葉を詩に書いた
 また、こんな箴言も残していた

 “人間は権威に向つて求心的である”
 “優越に向ふ心理に対してこそ、人間は生涯を企して闘ふに値ひする”

 その倫理的な意志はどこから来るのだろう
 公準から見はなされていない正義とはどんなうつくしさなのだろう
 私はそれを知らない
 それを語る言葉の凛々しさしか知らない

 正義に対する習慣的な反感と嘲笑は
 私の内面を侵しつづける
 それでもなお
 倫理に殉じた魂への憧れは消しがたい
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