萎れた花

エピソード文字数 431文字

 おまえ誰なんだよ
 ぼくがせっかく錠を何重にもかけたのに
 なんでその扉を叩くんだよ

 誰も孤独に閉じこもることなんて
 本当に望んではいないでしょう?
 外には光が差し、花が咲いていて綺麗ですよ

 おまえ馬鹿なんじゃないのか
 光にも花にも吐き気がするから
 暗くした部屋から出たくないんだよ

 あなたの暗さは豊かですよ
 影を知らない者は
 輝くものの真価がわからない

 なんだ、おまえも暗いやつじゃないか
 そんな戯言で慰められれば満足か?
 反吐が出るから消えてくれ

 扉を開けるまでは消えませんよ

 おまえが消えるまでは開けないよ

 それならあなたには開く意志がある

 本当にうっとうしいやつだな

 あなたもなかなかの頑固者だ

 死んじまえ

 ええ、死にますよ

 死ね、死ね、死ね

 ええ、あなたが望むなら

 その声が消えてから数時間後
 少年が気まぐれで扉を開けると
 すぐ外に
 (しお)れたハナショウブが落ちていた
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