影の倫理
文字数 232文字
影には影の倫理がある
光さす街道
群れなす幼童
見守る母堂
なんとはなしに明るい広小路
その表通りから弾かれた
路地裏に生息する影は
低い暗がりから見た正義しか信じない
踏みにじる大義を信じない
陽光のみの笑顔を信じない
居場所を奪われたことのある影には
明るさの残虐性が耐えられないからだ
影には影の倫理がある
暗い面持ちで
強いられた倫理を白眼視しながら
薄闇に呑まれる細くて弱くて小さなものを
忘れないための倫理を打ち立てる
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