浮遊

文字数 226文字

 相変わらずぼくはまた
 飽きもせずに暗い詩を書いていた
 言葉以外にはもう
 なにほどの現実も持っていなかったから

 どこで喪ってしまったのだろう
 ぼくが存在していた現実
 ぼくが空気に触れていた現実
 ぼくがあの人に語りたかった現実

 足が地面を離れてから
 ずいぶん時が経ってしまった
 ぼくは浮上しているのだろうか
 落下している最中だろうか

 鳥打ちはいないか
 マタギはいないか
 撃ち頃の魂がひとつ
 風船みたいにただよっているぞ
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