口笛の上手い神様

エピソード文字数 389文字

 ぼくにとって神はあまりに自明なので
 人に説明しようとは思えないし
 押しつけようとも思わない
 論理的にその不在を説かれても
 いないならいないでいいやと頷きながら
 信仰の(おもり)は小揺るぎもしない
 科学の話は大好きだ
 幽霊の話と同じくらい好きだ
 あまり節操がなさすぎるので
 これではきっと
 信徒からも唾棄される信徒
 黒よりも黒い背教者
 あるいはそれは思い上がりで
 初めからいなかったような
 信仰を履き違えただけのひとつまみの砂粒
 まあそんなことはどうでもよくて
 つまりぼくには常に口笛が聴こえているようなものであって
 その消え入るように途切れがちな不滅の音楽が
 たしかに心を震わせているのなら
 口笛を吹く何者かが存在すると思うのが自然なわけで
 つまりぼくの信仰する神は
 口笛がとても上手いということ
 それだけは言っておきたかったのだ
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