夜を慕う

エピソード文字数 483文字

 明日が来るなんて嫌だな
 今日だけでいいや
 夜が終わらないでほしい
 朝なんて来ないでほしい
 夜よ負けるな
 朝をぶちのめせ
 初めから出来レースだとわかっていても
 有り金はすべてきみにはたいたんだ
 魂の全重量を賭けたんだ
 夜よ踊れ
 夜よ叫べ
 きみの歌には死のような優しさがある
 きみの声には月影のような儚さがある
 (あかつき)を消してしまえ
 黎明(れいめい)(かどわ)かしてしまえ
 臥所(ふしど)の恋人たちに朝日を見せるな
 夢みる子どもたちに目覚めをもたらすな
 きみは未来のすべてよりも豊かな暗闇を持っている
 きみは一夜限りの死者たちをけして忘れない
 きみは魂の惨劇をおそれない
 真夜中は親しい恋の時間
 真夜中は狂おしい遊びの時間
 夜よ共に死のう
 きみと想い人にはなにかしら奥底に通ずるものがある
 記憶を繋留(けいりゅう)する懐かしさがある
 夜よ
 夜よ
 夜よ
 十六夜(いざよい)はもう二度とは帰ってこない
 きみの希望はすでにして潰え去った
 夜よ
 (うしな)った恋に痛む夜よ
 死にながら永遠に語らおう
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