ぼくを葬る
文字数 630文字
ちょうど十二のみぎりの秋に
ぼくは自分を埋葬 した
だれも知らない墓所 を見つけて
ぼくは自分を埋葬した
あとは余生を送るだけ
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
身近なだれかの死は哀しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の芽を摘み取ったから
痩せた土壌 に果 は実らない
悲哀の花咲く余地はない
だから当然わかってた
この哀感 は 偽物だと
ふたたび余生は凪 いできた
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
離れた彼女の眼は恋しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の灯 を吹き消したから
爛 れた白蝋 に火は点 らない
懸想 に焦がれる余地はない
だから当然わかってた
この恋情 は 偽物だと
ふたたび余生は凪いできた
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
詩を書き始めた日は楽しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の詩を引き裂いたから
千切れた紙片に詩は残らない
詩神 が微笑む余地はない
だから当然わかってた
この慰めは 偽物だと
ちょうど十二のみぎりの秋に
秋草 香る晩秋に
ぼくは自分を埋葬したのだ
ぼくは自分を
だれも知らない
ぼくは自分を埋葬した
あとは余生を送るだけ
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
身近なだれかの死は哀しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の芽を摘み取ったから
痩せた
悲哀の花咲く余地はない
だから当然わかってた
この
ふたたび余生は
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
離れた彼女の眼は恋しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の
だから当然わかってた
この
ふたたび余生は凪いできた
死を待つ日々は穏やかだった
ところがなんとも奇妙なことに
詩を書き始めた日は楽しかった
これは不思議なことだった
なぜならぼくは埋葬したとき
感情の詩を引き裂いたから
千切れた紙片に詩は残らない
だから当然わかってた
この慰めは 偽物だと
ちょうど十二のみぎりの秋に
ぼくは自分を埋葬したのだ