鳥居の首吊り女

エピソード文字数 390文字

 鳥居で首を吊っている女がいた
 おいおい
 そんな鞦韆(ぶらんこ)は神も迷惑だろう
 そう考えて死体を下ろした
 善かれと思ってやったのに
 死体からこっぴどく怒られた
 鳥居とわたしの赤い糸を
 断ち切ってしまったおまえは誰だ
 口を極めて罵る青白い女
 はあ そうとは知らずにすみません もう一度吊るしましょうか
 もうダメよ 黄泉(よみ)への水脈(みお)は塞がれてしまった おまえが余計な真似をするから どうしてくれる
 どうするもなにも どうしようもないですが とりあえず家にでも来ますか
 自分には似つかわしくない気軽な誘い
 死体と親しむ悪い癖
 鳥居で首を吊っていた青白い女は
 ロープを引きずりながらついてきた

 そんなわけで
 ぼくの家の玄関先には
 いまも青白い女が首を吊っているのです
 新聞や宗教の勧誘はなくなったけど
 毎日のように死のうと誘われます
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